京都は四季のメリハリがはっきりしていて、夏は蒸し暑く、冬は底冷えといって、それは厳しい寒さです。
それでもその四季を楽しむ様々な文化が生まれました。
その一つが、「“美味しいものを食べる”のではなく、“美味しく食べる”」ということであり、それが京都の食文化の根幹を成しています。
宮中の有職料理や社寺の精進料理、茶事の会席料理、また、庶民のおばんざいなどの豊かな食文化は、
そんな京都独特の気候と考えがあったからこそ生まれました。
一つ一つの料理をとっても色々な知恵と工夫があります。
例えば味噌汁、京都では「夏は赤味噌」「冬は白味噌」「春秋は合わせ味噌」を使います。
夏は塩分を補給するために赤味噌を使うのに対し、秋から冬を迎える頃になると、どんどん白味噌の比率を上げ、
真冬には糖分を補う為に白味噌だけに変わっていきます。
例えば「鰊(にしん)茄子」、夏場によく食卓にあがる料理で、京都の代表的なおばんざいの一つですが、茄子は身体を冷やすため、
身体を温める鰊を一緒に炊いていただきます。
このように工夫された料理を京都では「出会いもん」と云って、献立デザインの大きな要素として今でも伝承されています。
京都はまた京野菜でも有名ですが、京都人は農作ものについても経済的に優れた工業化されたものを好みません。
一般的に売られている野菜は、収穫されてから栄養を与えずに成長するため、時間が経つとどんどん持ち味を損なっていきます。
未だ一部ですが、フクナガでは、『朝、土から引き抜かれた野菜が、夕方には皿に盛られている』という取り組みを始めました。
それぞれの素材が備えている持ち味があれば、多くの調味料や技法は必要ありません。
私たちは、私たちと同じベクトルを持つ生産者との信頼関係を構築することを念頭に置き、日々活動を行っています。
これも先人達の“美味しく食べる”知恵の実践です。
①京都産の食材にこだわりを持ち続ける。
②良い生産者との出会いを活発化させる。
③持ち味を損なわないうちに、皿に盛る。
生産者の造られた食材ストーリーを、完結するのが私たちの役目です。
私たちは、お客様の笑顔を生産者にフィードバックできる環境をつくり、『生産者・私たち・お客様』このコミュニティを構築すべく、
ビジョンを描き、取り組んでいます。 |